PCBについて

プリント基板(PCB)とは?

 

プリント基板は、プリント回路板、プリント配線板とも呼ばれ、英語の略称であるPCB(Printed circuit board)やPWB(Printed wire board)が一般的に使用されています。PCBは電子部品に使用されるベースプレートであり、『電子製品の母』でもあります。非常に重要な電子部品で、電子部品を支える役割を果たしています。主に基板上の銅箔配線を介し、各層を接続する関連部品の設計により、効果的に動作する完全な製品を実現しています。

 

PCBが登場する前の初期には、電子製品のコンポーネントはワイヤー接続によって完全な回路を形成していました。その後、電子製品の製造プロセスの簡略化とコスト削減のため、ワイヤー接続に代わり、基板上に銅箔をプリントして配線を作成する手法が開発され、生産効率が向上しました。

 

各コンポーネントは主に基板上の銅箔配線を介し、各層を接続する関連部品の設計により、効果的に動作する完全な製品を実現しています。

 

従来の基板の工法は、レジストをプリントして配線や図面を作成することから、プリント基板と呼ばれています。電子製品のサイズは微小化、微細化が進み、現在ではほとんどの基板でエッチングレジスト(ウェットまたはドライフィルム)を使用し、露光後、不要な銅箔をエッチングして回路基板を作成します。

 

 

 

 

PCBの基材

 

基板は通常、絶縁性、材料組成、難燃性によって分類され、一般的な原料としてはベークライト、ガラス布、各種プラスチックボードがあります。PCB基板メーカーでは、一般的にガラス布とエポキシ樹脂から成る絶縁性のプリプレグ(prepreg)で銅箔をプレスして銅箔基板を作成します。

 

 

一般的なPCB基材の種類を以下に挙げます:

 

  • FR-4:ガラス布+エポキシ樹脂。最も一般的に使用されているPCB基材ですが、Tgは130程度のため、製品の加工環境や使用環境温度が高い場合には、High Tg FR-4の使用が推奨されます。
  • High Tg FR-4:ガラス布+エポキシ樹脂、FR-4に次いで一般的に使用されています。Tg150℃以上の高Tgタイプです。
  • CEM-1:芯材にコットンペーパー、表面にガラス布+エポキシ樹脂を使用。
  • CEM-3:芯材にガラス不織布、表面にガラス布+エポキシ樹脂を使用。
  • セラミック基板(Ceramic PCB):セラミック+ガラス布。
  • テフロン基板(Teflon PCB):テフロン(フッ素樹脂)+ガラス布。

 

 

5G用基材

 

5G用PCB製品に適した基材についてはこちらのページをご覧ください:PCB 5G 基材 - 選択とアプリケーション.

 

 

PCB表面処理

 

PCBの銅表面は大気中で酸化しやすいため、ソルダーレジストで覆われていない露出部分をコーティングし、酸化から保護するプロセスが必要となります。各種加工ニーズに対応するため、さまざまな材質、価格、保護レベルの表面処理方法が開発されてきました。

 

一般的なPCB表面処理には以下のものがあります:

 

裸銅、はんだレベラー、鉛フリーはんだレベラー、無電解金めっき、電解金めっき、無電解銀めっき、水溶性プリフラックス。各種PCB表面処理についてはこちらをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

PCB構造による分類

 

プリント基板(PCB)構造は以下の3種類に分けられます:

 

片面基板(Single-Layer PCB):基板の片面のみに銅箔配線があり、もう片面には銅箔配線がありません。初期の電子製品の回路は単純だったため、接続・導通には片面のみを使用し、銅箔のないもう片面を部品の配置に使用することができます。

 

両面基板(Double-Layer PCB):基板の両面に銅箔配線があり、トップ層(正面)とボトム層(裏面)はビアを介して接続されます。両面配線が可能なため、使用可能面積は片面基板の2倍となり、より複雑な回路を持つ製品に適しています。トップ層に部品を配置し、ボトム層に部品の脚部(ピン)を溶接する設計となっています。

 

多層基板(Multi-Layer PCB):多層基板はエッチングされた両面基板を複数使用し、ボードとボードの間にプリプレグ(Prepreg)を積層し、最外層の両面に銅箔を貼り、プレスして作成します。複数の両面基板を使用してプレスしているため、通常、層数は偶数となります。内側にプレスされた銅箔層は、導電層、信号層、電源層、接地層とすることができます。多層基板は理論上50層以上の積層が可能ですが、実際の応用としては現在最高30層程度となっています。

 

 

 

PCBの応用-片面基板、両面基板

 

1. 片面基板(Single sided board):

 

片面を銅箔で覆われたガラス布をベースプレートとし、片面に集積回路(IC)とその他の電子部品を、もう一方の面に銅配線を集中させています。片面基板では作成できる銅配線の数が少ないため、初期の単純な回路基板でのみ使用されています。

 

2. 両面基板(Double sided board)

 

両面を銅箔で覆われたガラス布をベースプレートとし、ベースプレートの両面に銅配線を作成し、「導通穴(ビア)」を開け、トップ層からボトム層まで銅配線を接続します。トップとボトムの表面の銅配線が接続され、片面基板よりも複雑な回路で使用されます。

 

3. 基材

 

シンプルでローエンドな電子製品の場合、コストを考慮して低価格なFR-1やFR-2(紙フェノール基板、通称ベークライト)を基材として選択することができますが、たいていの場合、上記で紹介したFR-4を基材として使用することになります。その他一般的な基材には以下のものがあります:

 

 

(A) PTFE(テフロン基板)

 

高周波High Frequency (HF) PCBです。特にワイヤレスネットワーク環境においては、高周波電子デバイスが現在の開発トレンドとなっています。衛星通信が急速に発展し、通信製品もまた高速化、高周波化へ進歩しています。そのため、新製品の開発には常に高周波基板、衛星システム、携帯電話受信基地局などを使用する必要があり、これらの通信機器には高周波PCBが必須となります。一般的には1GHz以上の周波数が高周波として定義されており、PTFE(フッ素樹脂)材料はテフロンとも呼ばれ、現在、高周波PCBの製造に幅広く使用されており、その周波数は通常5GHz以上となっています。
例:ROGERS RO3000シリーズ

 

 

(B) アルミナ(セラミック基板)

 

セラミック基板とは回路基板の一種であり、従来のFR-4やアルミニウム基板との違いとして、半導体に近い熱膨張係数と高い耐熱性を備えている点が挙げられます。発熱量の高い製品(高輝度LED、太陽エネルギー)に適しており、その優れた耐候性により、過酷な屋外環境での使用により適しています。一般的にセラミック基板は、その高い機械強度により、コンポーネントの搭載に加え、支持部材としての役割も果たすことができます。加工性、寸法精度に優れ、多層化の実現が容易です。
例:ROGERS RO4000シリーズ

 

 

(C) アルミニウム(アルミ基板)

 

アルミ基板は、熱伝導性、絶縁性、機械加工特性に優れた特殊な金属ベースの銅張積層基板です。LEDや電力変換器で最も多く使用され、LEDが発する強い光によって生じる高熱は、アルミ基板によって直接コンポーネントから放出されます。また、アルミ基板はLED素子の使用寿命を延ばし、より高い安定性をもたらすことができます。アルミ基板は、一般的に街灯、駐車場の照明、照明器具に使用されており、電力変換器の電流変化や電子機器の調整を可能にします。アルミ基板は通常片面ですが、両面のものもあり、多層アルミ基板の製造は困難です。

 

 

(D)その他

 

FRシリーズにはその他にFR-3、FR-5、FR-6などがあり、CEMシリーズにはCEM-1~CEM-5があります。

 

 

 

 

 

 

PCBの応用-多層基板

 

多層基板(Multi-layer board):複数の両面基板の両面に必要な配線を作成し、2枚の両面基板の間にプリプレグ絶縁層(Prepreg)を積層してプレスし、複数層の銅配線構造を形成します。複数の両面基板が使用されるため、通常、層数は偶数となります。多層基板は作成できる銅配線の数が最も多く、複雑な回路で使用されています。現在、コンピュータで使用されるマザーボードはコンポーネントが非常に多く、ほとんどが8層基板となっています。携帯電話、タブレットなどの一般的な小型電子製品では小型化のサイズ要件により、8層以上が必要とされ、電子コンポーネントの増加と製品サイズの小型化にともない、多層PCBへのニーズが高まっています。

 

 

1. 基材

 

FR-4(ガラスエポキシ基板)は、エレクトロニクス産業において最も幅広く使用されている材料です。FRとは難燃性材料のグレードを表し、樹脂材料の燃焼状態からの自己消火性を備えた材料仕様を表しています。また、これは材料名ではなく、材料のグレードを表すものとなります。現在、一般的な基板に使用されるFR-4グレードの材料は多種にわたりますが、その多くでテラファンクションエポキシ樹脂にフィラーとガラス繊維を充填した複合材料を使用しています。近年では、電子製品の実装技術やPCB技術開発ニーズにより、高TgのFR-4製品が登場しています。Tg(ガラス転移温度-Glass Transition Temperature)

 

例:ISOLA FR402、FR408、370HR 南亜 NP-140、NP-155、NP-175

 

2. 種類&用途

 

(A) 4層基板

基材は主にエポキシ樹脂、ガラス布で、パソコン、医療用電子機器、計測器、半導体試験機、数値制御装置、電子交換機、通信機、メモリ基板、ICカードなどが主な用途となります。

 

 

(B) 6~8層基板

基材は主にエポキシ樹脂、ガラス布で、そのほとんどが、電子交換機、半導体試験機、ミドルレンジパソコン、エンジニアリングワークステーションなどに使用されます。

 

 

(C) 10層以上の基板

多層PCBの基材は主にガラスベンゼン樹脂(ABS樹脂)またはエポキシ樹脂で、このタイプのPCBは、大型産業用コンピュータ、高速コンピュータ、防衛機器、通信機器などの特殊な応用に使用されます

 

 

 

 

 

 

PCB製造プロセス概要

 

片面基板:
エンジニアリング→切断→穴あけ→フィルムラミネート→エッチング→ソルダーレジスト→シルク印刷→表面処理→外形加工→電気検査→品質検査

 

両面基板:
エンジニアリング→切断→穴あけ→PTH→一次銅→フィルムラミネート→露光・現像→二次銅→はんだ→レジスト除去→エッチング→はんだ剥離→ソルダーレジスト→シルク印刷→表面処理→外形加工→電気検査→品質検査

 

多層基板:
エンジニアリング→切断→内層フィルムラミネート→内層エッチング→内層レジスト除去→プレス→穴あけ→PTH→一次銅→フィルムラミネート→露光・現像→二次銅→はんだ→レジスト除去→エッチング→はんだ剥離→ソルダーレジスト→シルク印刷→表面処理→外形加工→電気検査→品質検査

 

 

 

 

 

 

 

単位換算

 

 

銅箔厚さ-オンス ounce, oz

 

PCB産業で一般的に使用されている銅箔の厚さ単位はオンス(oz)となります。ですが、オンス(oz)は重量の単位であるにもかかわらず、なぜ厚さの単位として使用されているのでしょうか?
それは、PCBの銅箔仕様が1平方フィート(ft²)あたりの銅(oz)の使用量によって定義されていることによります。そのため、一定面積の銅重量が重いほど銅箔は厚くなり、銅箔の重量は厚さに比例するため、銅箔の重量オンス(oz)は厚さmilに変換されます。

 

PCBで一般的に使用される単位には以下のものがあります。

  • 1 oz = 28.35 g = 1.4 mil = 1400μ" = 35μm
  • 1 inch = 1000 mil
  • 1 inch = 25.4 mm
  • 1 mil = 0.0254 mm = 1000 micro inch (μ")
  • 1 mm = 39.37 mil

 

 

 

 

 

 

 

 

1. PCB製造プロセス

 

 


1. ドライプロセス:
切断、フィルムラミネート、露光、プレス、穴あけ、外形加工

 

2. ウェットプロセス:
研磨、内層現像、内層エッチング、内層レジスト除去、黒化、デスミア、スルーホールめっき、全体銅めっき、外層現像、配線銅めっき、はんだめっき、外層レジスト除去、外層エッチング、はんだ剥離、ソルダーレジスト、シルク印刷、表面処理

 

3. プロセス:

 

 

A. 切断(Sheets Cutting)
作業指示書にしたがって基板をワークパネルサイズ(working panel)に切断します。

B. 研磨(Scrub)
ラミネートの前に、研磨やマイクロエッチングなどの方法で基板の銅箔を適度に粗化してから、適切な温度、圧力でドライフィルムフォトレジストを圧着します。

C. ドライフィルムラミネート(Dry Film Lamination)
基板の前処理として、基板表面の洗浄、マイクロエッチングを行い、ラミネーターでフィルムをラミネートします。基板表面をフォトレジストフィルムで覆い、露光すると、フィルムの配線パターンが基板上に転写されます。

D. 露光(Exposure)
ドライフィルムでラミネートされた基板は露光装置で露光され、フィルムの感光部分がUV照射により硬化し、フィルムの配線パターンが基板のドライフィルムに転写されます(この部分のドライフィルムは現像、エッチング工程のエッチングレジストとして残ります)。

E. 内層現像(Inner Developing)
感光していないドライフィルムは現像液で溶解しますが、感光したドライフィルムは光硬化後、現像液で溶解せずに基板に残り、内層配線パターンを形成します(内層はネガ型フィルム、銅面部分はフィルム上では透明)。

F. 内層エッチング(Inner Etching)
感光していないドライフィルムが溶解すると、下の銅面が露出します。基板をエッチングすると、露出した銅面がエッチング液で溶解され、基板が露出します。ドライフィルムが圧着された部分の銅面は完全に残り、内層配線パターンが形成されます。

G. 内層レジスト除去(Inner Stripping)
光硬化したドライフィルムを剥離剤で取り除きます。

H. 黒化処理(Black Oxide Treatment)
化学薬品によって内層基板表面に黒色/褐色のケバを発生させることで、結合面積を増加させ、基板圧着後の層間結合力を増すために行います。黒化処理した基板は、基板の内部結合や膨張収縮に影響しないよう、ベーキングを行って基板の水分を乾燥させます。

I. プレス
6層配線パターン以上の内層配線パターンを積層する場合は、リベットで固定してからトレイを使用して鋼板の間に積層し、プレス機で適切な温度と圧力でフィルムを硬化させ、接着します。

J. 穴あけ(Drilling)
顧客の必要とする部品穴、固定穴、ビアなどの加工を行います。後工程で必要となる位置決め穴や、品質保証で必要な検査用のマイクロセクションを提供します。

K. デスミア(Desmear)
穴あけ時の熱で軟化、液化した基板の樹脂が、ドリルの回転によって穴の壁面全体に付着します。この樹脂残渣が内層銅とビア銅の絶縁を引き起こすため、化学薬品で残渣を除去してから電解めっきを行います。

L. スルーホールめっき(PTH Plating)
スルーホールめっきは一次銅めっきとも呼ばれ、科学的手法で穴壁の非伝導性樹脂とガラス布に銅の薄層をめっきし、穴を金属化します。内層と外層の配線を接続することが目的で、ビアと呼ばれたり、部品の脚の溶接に使用されるパーツホールと呼ばれたりしています。

M. 外層現像(Developing)、配線パターン銅めっき(Pattern Plating)、はんだめっき(Tin-Lead Plating)
ポジ型フィルムによるプロセスを採用し(ポジ型フィルムでは配線または銅面部分は黒色)、感光していないドライフィルムは溶解します。

N. 配線パターン銅めっき(二次銅) (Pattern Plating)、はんだめっき(Tin-Lead Plating)
現像後、外層配線パターンの厚みを増すために、二次銅めっき、はんだめっき(この部分のはんだは後のエッチング工程でエッチングレジストとして残ります)を行います。外層のドライフィルムが貼り付けられた銅面には、銅めっき、はんだめっきは行われません、露出した銅面(現像液で溶解した感光していないドライフィルム部分)には二次銅めっき、はんだめっきを行うことができ、はんだめっきの目的は次のプロセスのエッチング液ではんだ面の下にある銅面が溶解しないように保護することにあります。

O. 外層レジスト除去(Stripping)、外層エッチング(Inner Etching)、はんだ剥離(Tin-Lead Stripping)
基板表面のドライフィルムはレジスト剥離液で完全に除去され、外層のドライフィルムが除去されると、その下にある銅面が露出します。エッチング液でエッチングを行うと、露出した銅面が溶解し、基板が露出します。はんだめっきされた銅面ははんだによって保護され、溶解せずに外層配線パターンを形成します。最後にはんだ剥離液で基板上のはんだを完全に除去します。

P. ソルダーレジスト(Solder Mask)
基板の前処理として基板表面を洗浄します。レジストインキを印刷し、基板表面を感光ソルダーレジストインキで覆います。乾燥後、露光させるとソルダーレジストフィルムのパターンが基板上に転写されます。感光していないソルダーレジストインキは現像液に溶解し、感光したソルダーレジストインキは光硬化後、現像液に溶解せず、レジスト表面にパターンが形成されます。
ソルダーレジストの目的は、基板上のはんだ付け用の穴やパッドを残し、それ以外の配線や銅面を覆い、ウェーブはんだによるショートを防ぎ、はんだの使用量を削減することにあります。

Q. シルク印刷(Printing of Legend)
基板上にマークとなるテキストを印刷します。部品の取り付け位置の表示やメンテナンスを容易にするために行われます。

R. 表面処理(Surface Treatment)
表面の酸化防止のために行います。一般的な表面処理には、はんだレベラー(有鉛/鉛フリー)、水溶性プリフラックス(OSP:Organic Solderability Preservative)、無電解金めっき(ENIG)、無電解銀めっき(Immersion Silver)、電解金めっき(Gold Plating)があります。

S. 成形(NC-Routing)
お客様からの外形図要件に応じて、外形加工、切断を行い、サイズ要件に合わせた製品を作成します。(加工方法には主にパンチ、ルーター加工、Vカット、面取り(ベベル)、ドリルがあります)

T. 電気検査 (Electrical Testing)
基板の配線パターンの検査では、破損やショートのある基板についての修理、廃棄を判断するとともに、基板の電気特性検査を行います。一般的な検査方法としてはフライングプローブ方式(Flying Probe)、専用固定治具方式(Dedicated)、ユニバーサルグリッド方式(Universal on Grid)があります。

最終目視検査(Final Visual Inspection)
製品の外観を検査し、出荷品質を確保します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 各種穴あけの用途

 

機械穴あけ:
穴あけ機のドリルで穴を開けます。当社の最小穴径は0.15mmです。一般定にほとんどの貫通穴には穴あけ機ドリルが使用されています。

 

レーザー穴あけ:
レーザーでPCBに穴を開けます。穴径は約0.076~0.1mmです。HDI基板では、ブラインド/埋め込みビアの要件を満たすためにレーザー穴あけが多く使用されています。

 

スルーホール:めっきスルーホール(PTH:Plating Through Hole)、ノンめっきスルーホール(NPTH:(NonPlatingHole)があります。

その名が示すように、PCBのトップ層からボトム層まで貫通する穴で、穴あけ機のドリルでトップからボトムまですべての層に穴を開けます。PTHは穴壁に銅めっきを施し、必要な層間を銅箔で接続して導通させ、回路を形成します。NPTHは銅めっきを必要とせず、通常は部品脚部のピンの固定やPCBと筐体を固定する穴として使用され、導通の必要はありません。

 

ブラインド/埋め込みビア(Blind/Buried via):
ブラインドビア(Blind via)は、一方がPCBの外層にあり、もう一方が内層にあります。外観上、片側からしか穴が見えないため、ブラインドビアと呼ばれます。埋め込みビア(Buried via)は、PCBの内層に埋め込まれ、外観上、穴の位置が見えないようになっています。

 

ブラインドビアも埋め込みビアも貫通の必要がない穴となります。現在、製品の小型化にともない、PCB上の使用可能なスペースもますます狭くなり、すべての穴を貫通穴にしてしまうと占有面積が多くなりすぎて使用面積の効率的な合理化ができなくなります。ブラインドビア、埋め込みビア技術を使用することで、PCBの使用面積の利用効率を向上させ、製品の小型化という目標を実現することができます。

 

ブラインド/埋め込みビアの穴径は約4~6mil(0.1~0.15mm)で、すべての回路を導通させます。一般的に、6mil(0.15mm)の埋め込みビアは穴あけ機を使用して6mil(0.15mm)の穴をあけ、ブラインドビアはレーザーを使用して4mil(0.1mm)の穴を開けます。

 

図解:

 

 

 

 

端面スルーホール:

 

キャスタレーション(castellation)とも呼ばれ、PCBのエッジの指定された部分に銅めっきを施したものです。直線、曲線、スロット溝部分にあたるボードのエッジを銅めっきし、その後の製品組み立てに使用します。
図解:

 

カウンターシンク/段付き穴:
PCBと機構との組み立て時に使用するねじ固定用の穴で、凹部の形状によってカウンターシンク(Countersink) と段付き穴 (Counterbore)に分けられます。カウンターシンクの穴角度:82度/90度/100度。

 

 

図解 - カウンターシンク Countersink

 

 

 

 

特殊PCB材料と用途

 

PCB産業ではPCBをその特性によって、リジッド基板(RPCB)、フレキシブル基板(FPCB)、リジッドフレキシブル基板(RFPCB)に分類しています。コンピュータの内部部品を例に挙げると、リジッド基板はコンピュータのマザーボードなどの主要基板で、プリント基板またはPCBと呼ばれるものの多くはリジッド基板を指します。フレキシブル基板は、部品の接続に使用するボードで、携帯電話では一般的にアンテナをマザーボードに接続するためのアンテナフレキシブル基板が必要となります。一般的にフレキシブル基板が必要とされる条件としては、その柔軟性と薄さから、スペースが少なく、部品同士が離れている場合の接続に多く使用されます。

 

 

特殊PCBの種類

 

一、フレキシブル基板 FPC(Flexible Printed Circuit)

 

フレキシブル基板は柔軟性のあるプラスチックのベースフィルムと銅箔を接着層で一体化させたものです。自由に折り曲げることができ、薄くて軽く、高精度で、多層配線が可能で、基板上にチップやSMTチップを貼り付けることができます。一般的にフレキシブル基板と呼ばれており、略称はFPC、その他にもフレキシブルプリント配線板、ソフトフィルム、ソフトボードなどとも呼ばれています。


フレキシブル基板は他の基板と同様に、性能向上と伝送損失低減のために、高密度配線、高多層を追求し続けています。ですが、フレキシブル基板のプロセスは非常に複雑で、電子部品には高い技術力が求められます。

 

1. 用途
フレキシブル基板の応用範囲は幅広く、あらゆるテクノロジー製品に使用されていると言えます。スマートフォンなどの通信機器で最も多く利用され、スマートフォンでのフレキシブル基板の使用は全体の40%を占めています。この他にも、ノートパソコン、カーエレクトロニクス、医療、軍事、ウェアラブルデバイスなどで使用され、製品の軽薄短小化が求められる現代において、フレキシブル基板は非常に重要な役割を果たしています。統計によると、iPhone Xでは約20個のフレキシブル基板が使用されています。iPhoneのほかにもこれらのフレキシブル基板は端末において、フレキシブルアンテナ、バックライトモジュール、カメラレンズ、タッチパネル、Touch ID、simカード、ノートパソコンディスプレイ接続、自動車用イメージセンサー、自動車用ライトなどで使用されており、このことからもフレキシブル基板の重要性がわかります。

 

2. 材質
フレキシブル基板は材料によってPI、MPI、LCPに分類されます。MPIは改良型PIであり、PIはパフォーマンスに劣るため、ほとんど使用されていません。現在、フレキシブル基板で使用されている主な材料は、MPIとLCPであり、LCPはMPIよりもパフォーマンスに優れていますが、価格も相対的に大幅に上昇しています。コストパフォーマンス面では一般的にMPIが優れていると言え、特に近年ではMPIのパフォーマンスが大幅に向上し、LCPに迫る勢いになっています。2018年にはAppleでもコスト削減のため、LCPフレキシブル基板をMPIフレキシブル基板に変更する決定を下しています。3種類のフレキシブル基板を使用する上で最も考慮しなければならないのは伝送損失です。低周波伝送ではこれら3者に大きな違いはありませんが、周波数が高くなるにつれて、PIの損失は徐々に大きくなります。MPIもまたLCPとは損失に大きな差があり、高周波数の環境ではLCPの優位性がより明確になります。5G時代には伝送周波数の一部が24GHz以上と大幅に上昇し、フレキシブル基板のパフォーマンスに対する要件がさらに高まることが考えられます。

 

二、リジッドフレキシブル基板 RFPCB(Rigid-Flex Printed Circuit Board)

 

リジッドフレキ基板とも呼ばれ、一般的には、2枚のリジッド基板の間にフレキシブル基板を積層、プレスして一体化したプリント基板のことを指します。現在では、HDI技術との組み合わせと高周波信号の開発傾向にともない、リジッドフレキシブル基板の利用も多岐にわたっています。

 

フレキシブル基板とリジッド基板を組み合わせる従来の手法では、通常、コネクタの使用やホットバーはんだ付けプロセスによってフレキシブル基板と2枚のリジッド基板を接続していました。リジッドフレキシブル基板は、リジッド基板→フレキシブル基板→リジッド基板の組み合わせで信号を伝送します。伝送距離の短縮と速度の向上により、信頼性を効果的に向上させることができます。

 

また、基板上のスペースを効果的に節約するとともに、コネクタやホットバープロセスが不要になり、製品の組み立てを簡素化することができます。高価ではあるものの、その用途は極めて広く、多くの業界のアプリケーションに合わせたカスタマイズが可能です。

 

高い信頼性により、これらの基板は航空宇宙、医療、軍事用途などの厳しい要件の分野向けとして設計され、スマートフォン、太陽光パネル、バッテリーモジュール、ウェアラブルデバイス、ハイエンドストレージデバイスなどに多く使用されています。

 

 

 

 

PCB関連認証

 

1. UL認証

ULの正式名称はUnderwritersLaboratories Incで、アメリカ保険業者安全試験所の略称です。アメリカで設立された、世界で最も知名度の高い、世界最大の、最も歴史のある、最高権威の安全認証機関です。

 

UL認証サービスは要件に応じて、リスティング、レコグナイズド・コンポーネント、クラシフィケーションに分類されます。

リスティング(Listing):リスティング認証はUL認証の中で最もよく知られているサービスです。製品のULリスティングマークは、メーカーがアメリカで認可された安全基準でサンプルのテストを行い、合理的かつ予見可能な状況下において、サンプルが火災、漏電、関連する危険を引き起こさないことを表しています。

 

レコグナイズド・コンポーネント(Recognized Component):コンポーネントに対する認証サービスです。部品などの非完成品をテストし、これらの部品はULリステッド製品に使用されます。一般的にPCBのUL認証はこのカテゴリに属し、当社のPCBで最も多く見られるのもRUマークです。

 

クラシフィケーション(Classification):クラシフィケーション認証は、通常、工業用または商業用製品のテストにおいて、可燃性、危険な条件下での性能、政府が要求する特別な仕様などの特性が指定されます。UL製品のクラシフィケーションは、異なる特性、指定された危険範囲、特定の状況に基づいて製品のテストが行われ、一般的な製品としては建築資材や産業機器があります。

PCB工場の場合、工場がUL認証を取得しているか、当社PCBの基材/PP/ソルダーレジストインキメーカーが工場のULリストに載っているかが、消費者にとっての最重要関心事項となります。正規の基板メーカーにはそれぞれ固有のUL番号があり、ULのウェブサイト上でこの番号の認証を確認することができます。認証から関連情報を確認することができます。

 

チアタイムのUL認証番号:E142470

 

二、ISO 9001

 

ISO 9001とは品質マネジメントシステムの国際認証規格のことです。ISO 9001とは国際標準化機構 (International Organization for Standardization)によって策定された規格で、現在では170か国以上で100万社以上の企業・団体がISO 9001 品質マネジメントシステム認証を取得しています。ISO 9001はあらゆる組織、規模、製品、サービスで認証を取得することができます。

企業や組織がISO 9001を実施する目的は、製品やサービスの品質を維持し、品質の一貫性を確保することにあります。

 

三、ISO 14001

 

ISO 14001は国際標準化機構によって策定された規格で、その目的は、企業のより効果的なコスト管理、環境と生産性のバランス確保、企業の総合的な競争力の向上を支援することにあります。つまり、ISO 14001認証はマネジメントの強化、コスト削減、環境汚染の低減などに重点を置いていると言えます。

世界各国で環境保護活動への関心が高まるにつれ、多くの大手企業が環境保護への責任を認識するようになり、サプライヤーにも同様に環境保護への配慮を求めるようになっています。

ISO 14001環境マネジメントシステム認証によるメリットには、自社製品が環境にやさしい製品であることを証明することで、市場競争力が向上し、国際市場での輸出貿易が容易になるという点があります。特に汚染度の高いPCB製造産業においては、ISO 14001認証を取得することで、企業イメージの確立や企業の知名度向上を効果的に実現することができます。

 

四、IATF 16949

 

IATF 16949(前身のISO/TS 16949認証は2018年9月に失効)は、品質マネジメントシステム - 自動車製造や関連サービスを行う組織へのISO 9001実施における特別要求事項を指します。ISO 9001 : 2015に基づいて国際自動車産業特別委員会(International Automotive Task Force)によって策定され、自動車産業特有の技術的要求事項を取り入れることに重点が置かれた、顧客志向性の高い革新的な認証です。その目的は、世界の自動車産業の顧客に対してより優れた製品を提供し、欠陥防止、自動車部品のサプライチェーンで発生する品質のばらつきとロスの削減に重点を置いた、自動車産業共通の品質マネジメントシステムの要求事項策定にあります。メンバーには国際的な自動車メーカー団体や各国の自動車貿易関連組織などが含まれています。

 

五、RoHS

 

RoHS (Restriction of Hazardous Substances)はEU法で定められた指令であり、正式名称は《電子・電気機器における特定有害物質の使用制限》となります。この指令は2006年7月から正式に施行され、主に、電子・電気製品の材料および技術標準を規制し、人体の健康および環境保護を促進するために実施されます。

この指令の目的は、電子・電気製品に含まれる鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビニフェル、ポリ臭化ジフェニルエーテル、および4種類の可塑剤の合計10物質を排除することであり、特に鉛の含有量は0.1%を超えてはならないと規定されています。

 

六、REACH

 

REACHは化学物質の登録、評価、認可、制限に関するEUの安全規則です。2007年6月以降、EUに輸入されるすべての物質について認可が必要となりました。製造業者および輸入業者は、EUへの年間輸入量が1トン以上の製品について、欧州化学物質庁(ECHA)への登録が義務付けられます。EUに輸入される物質が高懸念物質(SVHC)に該当する場合、認可が必要となります。高懸念物質が0.1%以上で、その物質の年間輸入量が1トンを超える場合、製造業者、輸入業者は欧州化学物質庁(ECHA)に通知しなければなりません。人の健康と環境の安全を保護し、EU化学産業の競争力の維持、向上を目的としています。

RoHSとREACHの主な違いは、RoHSでは電子・電気機器における使用禁止物質を指定しているのに対し、REACHでは、物質、溶剤、塗料、化学薬品など、製品生産時に使用されるすべての化学物質を対象としている点です。

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